公証役場についてのお話

業務全般

公証役場ってよく耳にしますけど、一体何をするところなんでしょうか…❓

公証人の先生が公正証書を作成する公の事務所のことを指します。以下詳しく解説していきます❕

公証役場の役割

公証人と呼ばれる法律のスペシャリストの先生が遺言書や離婚契約書の作成、会社定款の認証等、公証人においてのみ認められた公証業務を行う、法務省が管轄する事務所のことを指します。

全国に約500名おり、300か所程存在してます。愛知県内には、葵町、熱田、名古屋駅前、春日井、一宮、半田、岡崎合同、豊田、豊橋合同、西尾、新城の計11箇所あります。

尚、公証人になれるのは、公募によって、30年以上裁判官や弁護士等のキャリアを積んだ専門家の中から法務大臣より任命された人に限るため、狭き門です。

主な公証証書

公正証書は、その名の通り公に証明された文章であるため、私文書より信憑性が高く、執行力が認められます。そのため、金銭消費貸借契約を公正証書で作成しておけば、裁判を起こさずに強制執行をすることが可能です。以下、司法書士が関与するケースが多い代表的な公正証書2つについて解説していきます。

公正証書遺言

遺言者が自身で作成する遺言は、偽造や遺言能力の欠如等法的な効力を満たしていない可能性があり、相続開始後に遺言の効力が発生しないことも考えられます。そのため、家庭裁判所の検認を受ける必要もあり、手間がかかります。

その点、公証人の先生によって、遺言者の遺言能力や法的整合性が担保されているため、家庭裁判所の認証を受けなくても、相続開始後に一部の例外を除いて即遺言の効力が発生します。

また、公正証書の手数料は財産の価格によって異なりますので、以下、紹介していきます。

目的の財産の価格手数料
100万円以下5,000円
100万円超、200万円以下7,000円
200万円超、500万円以下11,000円
500万円超、1,000万円以下17,000円
1,000万円超、3,000万円以下23,000円
3,000万円超、5,000万円以下29,000円
5,000万円超、1億円以下43,000円
1億円超、3億円以下5,000万円ごとに1万3,000円加算
3億円超、10億円以下5,000万円ごとに1万1,000円加算
10億円超5,000万円ごとに8,000円加算
※1:財産を受け取る人毎に、上記の表から手数料を算出して合計。
※2:全体の財産が1億円以下の時は、手数料に1万1,000円を加算。
※3:謄本手数料(約3,000円)が別途必要。

尚、令和2年7月から法務局で遺言書保管制度と言うものがはじまりましたので、下記のページで解説しています。

法務局での遺言書保管制度について詳しく見る

定款認証

株式会社や一般社団法人等は、公証人の先生より会社のルールブックである定款の認証を受けなければ、我々司法書士は設立登記をすることができないため、公正証書遺言作成の同行と並んで司法書士が関与することが多い手続きになります。本店所在地を管轄する公証役場で定款の認証を受けなければならないため、注意が必要です。

また、定款の作成代理自体は、我々司法書士等が行いますが、第三者機関である公証人の先生の認証によって効力が証明され、これを原始定款と呼びます。

尚、設立登記後は、株主総会の決議等の手続きを踏めば、法規に抵触しない範囲で自由に内容を変更できます。

設立する会社の資本金の価格によって手数料の価格が異なりますので、以下解説します。

資本金の額手数料
100万円未満3万円
100万円以上300万円未満4万円
その他5万円
※1:謄本手数料1枚250円が別途必要。
※2:印紙代4万円が別途必要。⇒電子定款の場合不要

会社には、株式会社以外に持分会社(合同会社・合資会社・合名会社)がありますが、こちらについては、定款認証は必要ありません。

一般人が公証役場に出向くのは敷居が高い

我々司法書士に相談せずとも、直接公証役場に問い合わせて、公正証書の作成を依頼することも可能です。しかし、事前に打合せや証人の同行が必要なため、慣れていないとスムーズにやりとりできず、作成したものの本来の目的を果たせなかったと言うことになると、お金を節約しても本末転倒です。

そのため、我々司法書士等の代理人に依頼頂いた方が、結果的に費用対効果の面で良いケースになることの方が多いです。

※公証人の手数料等については、令和5年2月現在の情報です。

2023年2月27日業務全般