生産緑地の売買には要注意❕

不動産関連

生産緑地って聞きなじみのない言葉ですけど、どのようなものなのでしょうか…❓

生産緑地とは、市街化区域にある一定の要件を満たした農地のことです。以下、簡単ご説明させて頂きます❕

生産緑地とは❓

生産緑地とは市街化地域にある農地のことで、特定の要件を満たしている場合において、市町村の指定を受けて減税措置を受けることができます。市街化にある農地は、原則として5条届出によって簡単に宅地や雑種地に転用できてしまうため利用価値が高く、調整区域の農地と異なり固定資産税が高額なものとなるため、恩恵は大きいです。

尚、通常の農地の名義変更については、以下の記事で詳しく解説してます。

農地の名義変更について詳しく見る

生産緑地の条件

◇単独又は近隣農地と合わせて500㎡以上 ※条例によって300㎡以上に引き下げ可

◇現に農地として利用されていること

◇農業の継続が可能な状況であること

◇農地として保全することによって生活環境の形成に役立ち、将来の公共施設の用地に適していること

生産緑地を売買する時の手続き

生産緑地を売買するには、生産緑地の解除の手続きをしなければなりません。解除の条件は以下の3つのいずれかです。

生産緑地の解除条件

◇指定を受けてから30年経過

◇主たる従事者が障害や疫病等により耕作が困難になった

◇主たる従事者の死亡

以上の条件を満たせば、解除が可能となります。まず市町村に買取の申出をし、成立しなければ、市町村の農業委員会が農業従事者に買取を斡旋します。現実問題として、財務状況が厳しい市町村は買取ができず、農業従事者は減少傾向であるが故に、農業委員会の斡旋によっても買取が不成立となることもあります。

その場合にようやく指定解除が成立し、市街化の通常の不動産と同じように売買の対象となります。

指定解除される弊害

生産緑地の指定解除によって税金の軽減措置がなくなるため、固定資産税が宅地課税によって数十倍以上になるケースもあります。また、相続税の納税猶予も受けられなくなります。

名義変更する時の注意点

ここにきてやっと我々司法書士が注意しなければならないことがあります。それは、登記簿や評価証明書には、生産緑地である旨の記載はされないと言うことです。

ご依頼頂いたお客様や仲介した不動産屋さんが生産緑地を解除した旨を我々に伝え忘れるケースも考えられます。したがって、市街化地域の農地の名義変更を依頼された際に評価証明書の価格が面積の大きさに対して異様に安い時は、生産緑地の指定解除された土地である可能性を考慮しなければなりません。

都道府県によって取り扱いが異なるみたいですが、名古屋法務局管轄内では、近傍宅地等の評価額を基に算定することになっており、従来の評価証明書の記載額を基に算定した価格の数十倍以上の登録免許税を収める必要がある可能性が高いです。

以上の様に生産緑地であった土地は、名義変更一つとっても気を付けなければならないことが多いです。

2023年2月27日不動産関連